フードライター・森脇慶子が通う、おすすめレストラン3選

日々食べ歩きをするフードライター・森脇慶子が絶対に外さない、行きつけのレストランをご紹介!
最新のお店から人気の予約困難店まで、ジャンルを超えた様々なお店をご紹介します。

1.2021年オープン!名店のDNAを受け継ぐ味わいを堪能

八雲うえず(東京都/都立大学駅)

閑静な住宅街を控えた都立大学にオープンして1年余。地元客の熱い支持を受けているのが、「八雲うえず」です。
ご主人の上江津直樹さんは、あの三つ星和食店「赤坂 菊乃井」で16年間修業。後半は料理長まで務めた実力の持ち主です。ここでは、その味を16,000円(税・サ別)のコースで楽しめるのですから、通いたくなるのも宜なるかな。和食の高騰化が進む昨今にあって貴重な存在といえましょう。

値段は手頃でも食材に妥協はなし。魚介は小田原早川港から直送の天然魚、筍や加茂茄子は京都からと、可能なかぎり良質のものを用意しています。
全8〜9品が登場するコースの中で、特筆すべきはお椀。「奥井海生堂」の2年蔵囲利尻昆布を用いたそれは、馥郁とした香りを讃え、淡麗でありながらも舌に染み入る余韻の深さはさすが。修業先のDNAを引き継ぐ出色の味わいです。

懐石・会席料理

八雲うえず

東急東横線 都立大学駅 徒歩4分

15,000円〜19,999円

2.香港で学んだ味をベースとした、ぶれない美味しさ

サエキ飯店(東京都/目黒駅)

いつ来てもぶれることの無い安定感のある美味しさ。それが、私にとっての行きつけにしたくなるお店の必須条件ですが、その信条にピタリと当てはまる一軒が、ここ「サエキ飯店」です。ワンオペで獅子奮迅の活躍を見せるのは佐伯悠太郎シェフ。「聘珍樓」を皮切りに「家全七福酒家(旧福臨門酒家)」や「赤坂璃宮」などの名店で修業し、香港でも研鑽を積んだ実力の持ち主です。

同店では、肌で覚えた香港の味をベースに「自分が美味しいと思うテイストを表現している」と佐伯シェフ。そんな自然体な美味しさも魅力の一つです。
とはいえ香港ラブの佐伯シェフのこと、コースには、揚げ大根餅や発酵からし菜とモツのスープ、土鍋ご飯等々香港の庶民の味が満載。高級食材に頼ることの無い“極上の賄い飯”が身上です。

3.薪焼きで仕上げるジューシーな焼き鳥をいただく隠れ家

薪鳥 新神戸(東京都/麻布十番駅)

麻布十番の路地裏の、そのまた奥にひっそりと潜む「薪鳥 新神戸」。炭火とはひと味違う薪ならではの薫香と肉汁迸るジューシーな味わいに惹かれて、つい足を向けてしまう一軒です。
ある意味、焼き鳥には不向きな薪を使って独自の味を編み出している同店、その薪火を巧みに操りながら、見事な焼きを見せるのはご主人の疋田豊樹さん。

疋田さん曰く「硬くストレートな炭火に対し、薪木は生木なので水分を含んだ炎になる。ジューシーに焼ける反面、表面をパリッと香ばしく焼くのは至難の業でした」とのこと。
試行錯誤の上、火から離し、時間をかけて焼くことで理想の焼き上がりに仕上げています。鶏は、薪火に合うものを20羽余り試した中から、秋田の比内地鶏を使用。2週間ほど寝かし、身を柔らかくすると共に旨味を凝縮させてから用いています。

焼鳥

薪鳥 新神戸

東京メトロ南北線、都営大江戸線 麻布十番駅 2番出口から徒歩1分

15,000円〜19,999円

どこも予約困難な人気店ではありますが、一度味わっていただきたい美味しいお店ばかりです。ぜひお店選びの参考にしてみてはいかがでしょうか。

森脇 慶子

学生時代からの食べ歩きが昂じて食の世界に携わり、早や40年余り。
フードライターという言葉もない頃からこの道一筋。美味しいものへの探求心は、変わりません。
食は歴史、食は人をテーマに続けていければ、というのが目下の願い。「東京最高のレストラン」のメンバーとしても20余年のキャリアです。

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