“看板のないレストラン”それは、知る人ぞ知る特別な料理店。あえて表に名を出さず、ひっそりと佇むその姿は非日常をより感じさせ、冒険心がくすぐられます。そこで今回「KIWAMINO」では、東京都内にある看板のない料理店を厳選して2店舗、ご紹介します。
1.ミシュラン一つ星を獲得している肉割烹の人気店
常(東京/広尾駅 徒歩約12分)
西麻布の交差点、六本木通りから細い路地に入ったスタイリッシュなビルの2階に店を構える肉割烹「常」。看板はもちろん、暖簾もなく、入り口の扉のみが目印となっています。店内は日本屈指の左官職人・久住有生氏が手掛けた珪藻土の設えとなっており、心地よく凛とした雰囲気を感じさせてくれます。
店主の常安孝明氏は「赤坂 菊乃井」をはじめ、フランスの日本料理店などでも研鑽を積んだ人物。「ミシュランガイド東京2020」では一つ星。「ゴ・エ・ミヨ 2020」 (Gault&Millau)でも高評価を受け、多くの美食家を魅了しています。
注目は「肉割烹」と評されるほどの、ここだけでしか出会えない肉料理。名物は「黒毛和牛タン 塊焼き」。厚みのある牛タンながら、口へ運ぶとすぐに繊維がほどけ、甘みのある上質な脂が食通をも唸らせると人気の一品です。
もちろん、季節の旬を感じられるお椀やお造りもいただけます。訪れた際には、「黒毛和牛は世界に向けて誇れる日本の素晴らしい食材。だから楽しんでほしい」という店主の想いも感じてみてください。
2.マンションの一室とは思えない空間が広がる鮨処
きたむら(東京/乃木坂駅 徒歩8分)
鮨処「きたむら」は、西麻布一丁目の星条旗通り沿い、マンションの4階に佇んでいます。店内はマンションの一室とは思えない、ゆとりと温かみのある空間。カウンターの大きな窓からは、都心の夜景が望めます。
店主の北村淳氏は、東京の鮨店で握りや和食を学び、若干26歳で現在と同じ形態の鮨店の店長になった人物。2005年に独立し「きたむら」を開店し、2009年には「きたむら 別館」を開業。これまで多くのゲストを魅了し続けています。
「おまかせコース」は、一品料理と握りで構成。季節を感じられる一皿も含め、約30品目もの食材が使用されています。「北海道産の生雲丹」や「青森県産しじみ」など、メイン食材はもちろん、出汁に使用する節まで厳選された国産ものです。マグロには、相性抜群の赤酢のごはんでいただきます。
旬の食材を使用するため、メニューは席に座るまでのお楽しみ。店主が吟味した銘酒と共に、じっくりとおいしいお鮨を味わってください。
まさに、知る人ぞ知る名店。お店へ到着するのも難しいかも知れませんが、それもまた一興です。大事な人へのサプライズなど、お食事以外でもわくわくできる魅力のある、看板のない料理店。ぜひ一度、足を運んでみてはいかがでしょう。